粘性土は「軟らかい」?「柔らかい」?

粘性土のコンシステンシーの記述において、「軟らかい」「柔らかい」のどちらを用いますか? やはり、「硬軟」というくらいですから、「軟らかい」が良いのでしょうか。それとも、最近の地盤工学会の調査法で用いられる「柔らかい」が適当なのでしょうか。

どちらを用いるにしても、根拠や何に従うかを明確にした上で、報告書のなかでは統一した方が良いはずです。

ちなみに、本サービスでは「軟らかい」を用いています。その理由は、道路橋示方書と国交省の電子納品要領で、「軟らかい」の方が用いられているからです。他にも以下のような理由があります。

  • 「軟らかい」は塑性変形、「柔らかい」には弾性変形の意味合いもある(広辞苑)
  • 「軟弱」という表現も用いるため、漢字を合わせる

以下に、参考になりそうな資料を挙げておきますので、どちらを用いるか判断する時に役立てて頂けたらと思います。

広辞苑 第六版 2008年 (新村出、岩波書店)

やわらか・い(柔らかい・軟らかい)(形)
①物の性質・状態が、堅くない。しなやかである。ふっくらしている。
・・・中略・・・
◇「柔」は「剛」の、また、「軟」は「硬」の、それぞれ対語の意味で使われることが多い。「柔」は、力を加えて変形しても元に戻る場合、「軟」は、力を加えると変形しやすく元に戻らない場合によく使う。(pp.2849-2850)

「軟らかい」は塑性変形、「柔らかい」には弾性変形の意味合いもあるようです。ただし、このソースがどこなのかは不明です。他の辞書なども調べてみましたが、同様の記述は見つけることができませんでした。広辞苑恐るべしです。

道路橋示方書・同解説 Ⅰ共通編 Ⅳ下部構造編 平成24年3月(公益社団法人 日本道路協会)

「軟らかい」
例えば、以下の文章で確認できます。

・・・室内試験であれば三軸圧縮試験から求めるのがよいが、軟らかい粘性土の非排水せん断強度においては、・・・(p.140)

地質・土質調査成果電子納品要領・同解説 平成28年10月(国土交通省大臣官房技術調査課)

「軟らかい」
付属資料5ボーリング交換用データの2-11 F様式:相対密度・相対稠度の「表2-24 細粒土の相対稠度区分と状態表現(ASTM D 2488参考)」(付5-42)において、相対稠度(状態表現)として、「軟らかい」の方が用いられています。

地盤調査の方法と解説 2013年3月(公益社団法人 地盤工学会)

「柔らかい」
まさに、「表-2.5.4 N値と粘土のコンシステンシー、一軸圧縮強さの関係」(p.308)のコンシステンシーの表現方法として、「柔らかい」が用いられています。

土質調査法 第2回改訂版 1982年(旧:社団法人 土質工学会)

「軟らかい」
こちらの、「表-6.7 粘土のコンシステンシー、一軸圧縮強さとN値との関係(Terzaghi)」(p.210)では「軟らかい」が用いられています。上記の新しい調査法では、「柔らかい」が用いられているので、何らかの理由で何時からか変更したのだと思います。

土質工学用語辞典 1985年(旧:社団法人 土質工学会)

「軟らかい」
コンシステンシーの項で、以下のように記されています。

・・・一般にコンシステンシーは、非常に軟らかい(very soft)、軟らかい(soft)、中位の(medium)、硬い(stiff)、非常の硬い(very stiff)、特別に硬い(hard)などと概念的に表されるが、・・・(p.61)

地盤調査 基本と手引き 2005年(旧:社団法人 地盤工学会)

「柔らかい」
「表-15.1 N値と相対密度、一軸圧縮強さ、コンシステンシーの関係」(p.105)では、「柔らかい」が用いられています。